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2019年ロシア26日間の旅① 山添博之
2019年5月23日から6月17日までの26日間、ロシアを旅していました。
モスクワ(Moscow)、カザン(Kazan)、ノヴォシビルスク(Novosibirisk)、イルクーツク(Irkutsk)、ウランウデ(Ulan-Ude)、チタ(Chita)、ハバロフスク(Khabarovsk)、ウラジオストク(Vladivostok)を訪れました。
ロシア26日間旅の計画
飛行機とシベリア鉄道を使いながら、各都市に立ち寄りながらモスクワからウラジオストクまでロシアを西から東へ横断していきました。
その旅のレポート記事を数回に分けて書いていきます。
今回はその第一弾。モスクワ-カザン編のレポート記事を書きました。
ロシア再訪のきっかけ
ロシアには2017年の夏にも一人旅をしていました。
(こちらにそのレポートがあります。)
今回は2度目の旅です。
ロシアはとても興味深い国だと常々感じています。
日本とロシア(ソ連)は長らく敵対しあう関係でした。日露戦争、シベリア出兵、第二次世界大戦と敵対し合う関係が続き、その後は資本主義陣営と共産主義陣営としてお互い対立していました。その後、冷戦体制崩壊後も現在に至るまで平和条約すら結ばれていません。渡航にはビザが必要になります。
こういった事からも、他の国と比較した場合、日本人にはあまり馴染みがなく、距離的にはロシアは日本の直ぐ近くなのに凄く遠くにあるようなイメージがあります。
秘密の多い謎の国でもあり、ジャーナリストを暗殺したり、アメリカの大統領選の結果を裏で操ったり等のうわさがメディアでは報道されています。日本の一部では「おそロシア」などとも呼ばれて畏怖(もしくはからかい?)の念を持たれています。
しかし、ロシアは広大な国で、雄大な自然に恵まれ様々な民族が生活しています。重厚な歴史があり、そこで洗練された文化や伝統や芸術が育まれてきました。とても魅力的な国でもあります。
色んな面を持つロシア。私にとって凄く興味深い場所です。もっと深くロシアを体験してみたいという強い思いがありました。
成田空港からモスクワのシェレメーチエヴォ国際空港へ
前回の一人旅の時に出会ったロシアの友人がカザンを一緒に旅行しようと誘ってくれた事が、今回の旅の一つのきっかけです。
そして、カザン以外にも様々なロシアの都市を見てみたい。広大なロシアの地を体感したい。シベリア鉄道に乗ったり、自然に触れあったりして、更に様々なロシアの地方都市を体験してみたい。そういう想いからロシアに再び旅立ちました。
モスクワ(シェレメーチエヴォ国際空港)
モスクワは前回に長期間滞在した事もあり、
今回は、カザン行の飛行機待ちの為に空港近くのホテルで1泊するだけにしました。
モスクワに無事到着しました。🙂
今、SVO空港近くのホテルにチェックインしました。近代的で美しいホテルです。
こちらは今18:56。長旅で疲れたので今日は早めに眠ります。😴
明日の朝、飛行機でロシア連邦タタールスタン共和国の首都のカザンに移動します。#ロシア #一人旅 #ひきこもり pic.twitter.com/yeAt7aMtDf
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 23, 2019
ホテルは近代的で清潔。快適に過ごしました。
翌朝、モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港からカザンに飛びました。
カザン タタールスタン共和国
5月24日にカザンに到着しました。
約二年前にも2日間だけこの町を訪れました。
今回はカザンの周辺も含めて色々な場所を訪れました。
カザンの市の中心部の様子
カザンはロシア連邦・タタールスタン共和国の首都です。
この町の大きな特徴として人口の約半分がイスラム教徒という事が挙げられます。
カザンではイスラム教を主に信奉するタタール民族が人口の約52%。ロシア正教会を信奉するキリスト教徒のロシア人と共存しています。
左側にモスク。右側にキリスト教会。カザンのクレムリン内に並んで建ってました。
カザンのクレムリン(城塞)の内部にも正教会のキリスト教会とモスクが仲良く並んで建っています。
約2年ぶりに友人に再会!
カザン市内で2年ぶりに友人のヤナと再会しました。今回はヤナの母親も一緒でした。
ヤナは英語が話せます。ヤナの母親が話すのはロシア語だけですが、ヤナが通訳してくれました。
ヤナは元警察官の銀行員。その母親は元秘密警察(KGB?)。
この3人で2日間カザンを一緒に旅行していました。
ヤナはブログやSNSにアップするためNiconの高性能そうなカメラでカザンの街の写真を撮りまくっていました。プロのブロガーを目指しているそうです。ロシアでもネットで稼ぐ手段が色々とあるようですね。
武器博物館 カラシニコフ(AK47)
ヤナと武器博物館でAK47を構えてみました。笑
この博物館では様々な銃器が展示してあり、実際に手に持つことが出来ます。
前回はヴァイキングとしての訓練を受け、今回は本物のAK47を持ちました。。笑
渡航する前はこのような経験をするとは想像していませんでした。その他の小銃やロケットランチャー(RPG)も持ってみました。RPGはずっしりとした重さがあります。
貴重な体験だったと思います。
カザンの歴史博物館
カザンの博物館に立ち寄りました。この博物館ではソ連時代の人々の暮らしを知ることが出来ます。
オモチャの銃がカラシニコフ風なのが印象的
博物館内はスターリンやレーニンのバッチやグッズが一杯。ヤナの母親によると、共産主義時代のソ連は宗教は弾圧されて、共産主義の価値観を宗教のように信じる事を強制されていたようです。
あと個人的に意外だったのは西側のスターであるジョンレノンがソ連内においてもスターだった事。ジョンレノン関係のグッズが沢山ありました。よく考えると「imagine」という曲はソ連の共産主義の理想を歌っているようにも解釈できます。
ヴォルガ川
ヴォルガ川は全長3,690kmの大河です。
モスクワとサンクトペテルブルグの間にあるヴァルダイ丘陵が源流で最後はカスピ海に流れ込みます。
川幅が広く美しい川です。この川沿いにはカフェやレストランが立ち並んでいました。
カザンのヴォルガ川の港から遊覧船やフェリーなどに乗って移動する事もできます。
タタールスタン料理
カザンのレストランでタタールスタン料理を食べてみました。
ラザニアっぽい料理と、サーモンとサラダにチーズをまぶせた感じの料理でした。
ビールと相性が良く、とっても美味しいです。ただボリュームがとても多いです。
カザンのクレムリン
カザンのクレムリン内に入りました。クレムリンとは「城塞」という意味です。モスクワのクレムリンが有名ですが、モスクワ以外にも各地にクレムリンがあります。
カザンのクレムリン内にはロシア正教会とモスクが共存して建っています。このクレムリンはイスラム教徒が約半数を占めるこの街の象徴とも言えるのではないでしょうか?
それぞれの建物内部に入ってみました。
カザンのクレムリン内のモスク(クル=シャーリフ・モスク)
カザンのクレムリン内のロシア正教会
カザンの地下鉄
カザンの地下鉄はモスクワなどの他のロシアの都市と同じく、一度トークンを購入すれば片道乗り放題でした。トークンの値段は約50円。
カザンの地下鉄です。約50円で片道どこまででも乗ることが出来ました。
ホームはモスクワの地下鉄のように絵画などで飾られています。 pic.twitter.com/yuVp3ldnYc
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 25, 2019
レストランで食事 本場のボルシチ
カザンの庶民的なレストランで食事をしてみました。
値段は忘れましたが凄く安かった事が記憶にあります。
でもボリュームがたっぷり。食べ応え満点でした。
カザンのクレムリンを観光した後、市内を歩いていました。
昼食はタタールスタンの民族料理とボルシチを食べました。ボルシチがとてもコクがあって味わい深かったです。本場の味という感じです。🙂#ボルシチ #ロシア料理 pic.twitter.com/CUfac128z2
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 25, 2019
ボルシチはロシア料理だと思っていましたが、イルクーツクを旅行している時にボルシチはロシアじゃなくてベラルーシから来んだと現地の人に指摘されました。
でも一般的にはロシア料理だと言われていると思います。ボルシチの起源については色々と諸説があるのかもしれません。
バスで夜のカザンを巡る
夜にはバスを利用して夜のカザンの名所を巡ってきました。
印象的だったのはタタールの村が再現された場所。かわいい木組みの家が立ち並んでいます。童話の世界のようで幻想的な場所でした。
友人たちとの別れ
朝食を食べた後、週末休暇の終わったロシアの友人たちと別れました。
日本からのお土産をプレゼントしたらとても喜んでもらえました。今度は友人たちの故郷の街に来るようにと誘ってくれました。
またロシアに来ることを約束して感謝を告げて別れました。
別れとはいうものの、今の時代の友人関係はネットでいつも繋がっているので、寂しさはあまり感じないものですね。
一人旅の再開と格安ホテル!
再び一人旅となりました。ロシアは日本と比べると犯罪率がとても高い国です。一人きりですので、トラブルなどに巻き込まれないように特に注意が必要ですね。
カザン市内の別のホテルにチェックインしました。朝食付きで約3500円の格安ホテルです。ここで3日間を過ごしました。
次のホテルにチェックインしました。今回はとても簡素な部屋でした。このホテルは一泊わずか約3500円です。しかも朝食付きです。😊
必要な設備や備品は揃っており、広さもそれなりにあって十分快適に過ごせる部屋です。#ロシア #一人旅 #ひきこもり #kazan #trip #hikikomori pic.twitter.com/6P0ESQRCD9
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 26, 2019
ホテルのレストランで朝食を食べています。とてもシンプルな朝食。美味しいです。😊😊#ロシア #一人旅 #ひきこもり #カザン #タタールスタン共和国 #タタールスタン pic.twitter.com/uzHkT48FQv
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 27, 2019
部屋もシンプルで食事もシンプルですが、必要十分。
私には十分満足できるホテルでした。
スヴィヤシュスク島(Sviyazhsk)へ!
ずっと気になっていた世界文化遺産であるスヴィヤシュスク島へ行く事にしました。
スヴィヤシュスク島はイワン雷帝(イヴァン4世)がカザンハーン国を攻撃するために1500年代に作った要塞都市。カザン市内中心部から約58キロ離れています。
しかしネットで調べても、紹介記事などはあるけど、具体的な島への到達方法が今一つ不明でした。船で辿り着けるようですが、どこに乗り場があるのか全く分かりませんでした。
とりあえずスヴィヤシュスク島の最寄りの電車駅から島へのバスが出ているようなので、最寄り駅まで電車で行ってみる事にしました。
スヴィヤシュスク島方面への電車に乗りました。切符の購入方法が分からず、駅員の人に聞いたら英語がまったく伝わらなくて苦労。簡単なロシア語とgoogle翻訳で電車内で切符を購入すればokだと何とか理解出来ました😅#スヴィヤシュスク島 #スヴィヤシュスク島 #sviyazhsk #ひきこもり #一人旅 #ロシア pic.twitter.com/0vhDnzzSyR
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 27, 2019
英語が通じないカザンの旅客駅の駅員の人と頑張ってコミュニケーションを取り、スヴィヤシュスク島の最寄り駅への電車に乗りました。
スヴィヤシュスク島の最寄り駅への電車に乗っています。カザンから郊外に出ると、雰囲気が一気に変わります。木組みの小型の住宅や寂れた工場が路線沿いに点在しています。
ちなみにこの電車は目的地まで約1時間半の距離なのに、わずか片道120円程度でした。🙂 pic.twitter.com/e9kjK40ebO
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 27, 2019
ロシアの電車からの風景はいつも興味深いです。都市部では基本的に住民はマンションで暮らしており、高層マンションが立ち並んでいますが、都市の外に出ると庭つきの木組みの小さな家々が現れます。道路も舗装されていない事が多いです。都市部とは全く違う雰囲気があります。
スヴィヤシュスク島の最寄り駅に到着後、駅員の人に教えて貰い、島行きの小型バスに乗りました。定員10人くらいの小型バスに15人くらいが詰め込まれていました。料金は120円くらい。
スヴィヤシュスク島に到着!
スヴィヤシュスク島に無事到着しました。
島の最寄り駅からバス
(10人乗りくらいの小型バスに15人くらいが詰め込まれていました😅)
に乗ってスヴィヤシュスク島に無事到着しました。🙂とても美しい島です。島内はロシア正教会の教会が沢山あります。#スヴィヤシュスク島 #スヴィヤシュスク島 #sviyazhsk #ひきこもり #一人旅 #ロシア pic.twitter.com/ApmjA4Vpnt
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 27, 2019
スヴィヤシュスク島はとても美しい島です。
島の中にはロシア正教会や修道院が沢山あります。島内ではロシア正教会の聖職者の格好をした人達を何度か見かけました。
島内の教会に入ってみました。
スヴィヤシュスク島内のロシア正教会の内部
島内の歴史を紹介した博物館を訪れました。
博物館が幾つかあります。古代から近代までの島の歴史を学べます。
スヴィヤシュスク島の港付近から見た岸の風景が美しくて印象に残っています。動画で紹介します。
スヴィヤシュスクから見たヴォルガ川とその対岸の村の風景
その他のスヴィヤシュスク島の風景
スヴィヤシュスク島内を一通り歩き、お土産を買った後、タクシーで最寄り駅まで帰ろうと思い、インフォメーションセンターの職員の人に尋ねたら職員の人も最寄り駅まで帰るので一緒に帰ろうと誘ってくれました。
とても良い職員の方でした。しかし、車に乗るとカーステレオでハウスミュージックを大きな音量で流しながらかなりのスピードで駆け抜けていきました。道路の整備が良くなかったので少々怖かったけど、地元の人だからそれで普通なのかもしれない。
そして、駅から電車に乗ってカザンの旅客駅まで帰ってきました。
今日はなかなか面白い1日でした。🙂 島に辿り着くため、英語が通じないロシア人と頑張って意思疎通し、すし詰め状態の小型バスに乗って島にたどり着き、島を観光し、帰りにはとても親切だけど運転の荒いロシア人の車に乗せて貰ったり。😅 深く思い出に残る1日でした。#一人旅 #ロシア #ひきこもり
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 27, 2019
憧れのスヴィヤシュスク島を隅々まで歩けて良かった!
非常に美しい島でした。
ロシアの公園 戦車が遊具!?
カザン市内中心部から地下鉄で移動し、Park Pobedy Парк Победы という公園に来てみました。
ロシアの航空機や戦車等の兵器の模型が遊具として沢山展示されており、家族連れが戦車などに登って遊んでいました。ロシアはこういうタイプの公園が沢山あります。子供時代から兵器に慣れ親しむようにという事なんでしょうか?
兵器が沢山あるだけでなく、自然が豊かでとても広い公園でした。
戦車などの兵器が公園に展示してあります
Park Pobedy Парк Победы という公園を散歩しています。ロシア(ソビエト連邦)軍の兵器の模型が沢山展示されていました。#ロシア #ロシア軍 #カザン #兵器 #戦車 #戦闘機 #ソビエト軍 #ソ連 #ソ連 #ソ連軍 #ソビエト連邦 pic.twitter.com/oXpirQFs5m
— 山添博之 (@hiroshiyamazoe) May 28, 2019
この後はカザン空港へ戻り、次の目的地であるノヴォシビルスク(ノボシビルスク)へ飛びました。
人種と宗教 カザンを旅して思った事
まずこの街で特徴的なのは、人口の約半数がタタール民族という点だと思います。
この街の歴史を簡単にまとめると、13世紀前半にモンゴル帝国の来襲によってこの街を含めた地域が壊滅し、1438年頃にはこの街はモンゴル帝国のチンギスハーンの末裔のウルグ・ムハンマドよって樹立されたカザン・ハン国の首都となりました。
モンゴル帝国系の勢力はモンゴル人を含めた様々な民族の混合した勢力ですが、次第に全体的にイスラム教を受け入れてイスラム化していきました。
それが現在のカザンにおけるタタール人と呼ばれる民族になったようです。
そして、1552年にはロシアの皇帝イヴァン4世がカザン・ハン国を打ち破りそれ以後はロシアの地となりました。
現在のカザンのタタール人は混血が進み、白人ロシア人達と見分けが付かない感じです。
遺伝学的には数世代を経たら、人種というものが別のものになり得ますね。黒人が白人になったりモンゴロイドになったり、その逆もあり、人は混血しながら世代を経ればどんな人種にも変わり得る。
人種の変化は実際に世界の人類の歴史の中で繰り返されてきたのだと思います。白人のフィンランド人(フィン人)の祖先はモンゴロイドだし、ロシア人や東欧人は見た目が白人だけどモンゴロイドと混血している人も多いです。
ユダヤ人はその典型で、地域によって人種が違い、黒人系や白人系やモンゴロイド系のユダヤ人が居ます。
カザンの歴史を見て分かるように民族や宗教も同じで、世代が変われば、別の民族になったり、宗教になったり・・自由に変化し得るんですね。
そういう事実から思った事。
自由に変わり得るものならば、一つに縛られる必要はないのでは?という事。
そして、民族や宗教や人種を分け隔てたり、差別したりする事は自分の子孫の未来を否定する事に繋がり得るだろうという事。
自分の子孫が自分とは別の宗教になったり、別の民族や人種になるかもしれないですから。
だから、それぞれの人種や民族や宗教は敵対し合うのではなく、他の人種や民族や宗教と持続的に仲良くする基盤を作った方が良いのだろうなと思いました。
私には子孫いないですが、そんな事を思いました。
まとめ
カザン タタールスタン共和国では、約2年ぶりに友人に再会出来ました。
カザンの街の様々な場所を巡り歩き、博物館や教会やモスク内を観覧し、食事を楽しみ、憧れのスヴィヤシュスク島にも何とか辿り着いて観光することが出来ました。とても良い旅でした。特に苦労して辿り着いたスヴィヤシュスク島の風景は思い出に深く刻まれています。
カザンは約人口100万人の大規模な都市です。
街は広く、ここで取り上げた場所以外にも見所は沢山ありました。
最後に紹介しきれなかった部分をまとめてギャラリーにしました。
26日間のロシア旅はまだまだ続きます。次はノヴォシビルスクの旅です。
第二弾のレポートに続きます↓