その他・雑記

「引きこもり文学大賞」へ外国の引きこもり達の作品を届けてみました

世界の引きこもり文学を紹介!

 

 

引きこもり文学大賞というイベントがあります。

それは引きこもりを自認する人々から最大4000文字の文学作品を募る文学賞イベントです。詳しくは公式サイトをご覧ください。

 

2022年3月から第三回引きこもり文学大賞が開催されています。

 

これは日本のイベントですが、海外の引きこもり達と接点のある私は、海外の引きこもり達にも参加の機会を開けば、国際色豊かなイベントとなり、更に盛り上がるのではないかと考えました。

そこで、私が彼らの仲介者となり、彼らの作品を集め、翻訳し、第三回引きこもり文学大賞に提出するというプロジェクトを行わせて頂くことは可能かどうか運営者の方にお伺いすると、OKして頂けたのです。

 

という事で、私はYouTubeや私のDiscordのコミュニティで応募者を募りました。応募があるかどうか不安でしたが、続々と名乗りを上げる人が現れ、応募者は合計9名となりました。

そして、それらの作品を翻訳し、無事に第三回引きこもり文学大賞に届ける事が出来ました。

 

以下に、公式サイトの各作品へのリンクと共にそれぞれの作品を簡単に紹介していきます!

 

作品1:母と見知らぬ男 (アメリカ合衆国)

 

「母と見知らぬ男」 本文へのリンク

 

アメリカからの応募作品です。17歳の頃の重度の引きこもり時代を思い出して書いてくれたようです。

この作品では実家で引きこもっている状況下における来客というシチュエーションでの心の動きや行動がリアルに細かく描かれています。おそらく、これと似たような状況を多くの引きこもり経験者は経験しており、共感しながら読むことが出来るのではないかと思います。例えば実家に親戚が訪問してきた時など・・。

 

作品2:僕は両親を知らない(国籍不明)

 

「僕は両親を知らない」 本文へのリンク

 

作者の国籍が不明の作品です。実は私は作者の国を知っているのですが、明かさないようリクエストがあり、国籍不明としました。この作者は素晴らしい絵を描くアーティストでもあります。

この作品の凄い所は、読者には主人公が何者なのかが終盤までは全く分からず、徐々に主人公の状況や主人公が何者なのかが明らかになっていく事です。その間、読者は想像力が刺激されます。

 

作品3:SYNA: 破壊と死と再生のトランペット (シンガポール)

 

「SYNA: 破壊と死と再生のトランペット」 本文へのリンク

 

シンガポールからの応募作品です。この作品は宗教的な作品です。この作品に登場するアズラーイールやイスラーフィールという天使はイスラム教における「死の天使」と「最後の審判を司る天使」だそうです。

イスラム教の事を良く知りませんが、最後の審判はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の思想であり、イスラム教の場合はキリスト教の黙示録と似たような終末観を持っているそうです。この作品ではSYNAと呼ばれるトランペットが吹かれることによってその終末が訪れます。

 

作品4:エンドウ君がダークソウルを遊ぶ夜 (クロアチア)

 

「エンドウ君がダークソウルを遊ぶ夜」 本文へのリンク

 

クロアチアから応募してくれました。エンドウハヤテという主人公がただダークソウルというゲームを遊ぶ作品です。ほのぼのした作品です。

この作品で苦労したのは、登場する固有名詞「センの古城」や「黒い森の庭」などは英語版においては全く違う表記になっているので、日本語版のダークソウルの解説サイトを調べて正しい表記を探し出しました。そこまで正確に翻訳しなくても良いかもしれませんが、ダークソウルを遊んだことのある人にも違和感なく読めるように正しく翻訳してみました。

 

作品5:あるクリスマスの夜 (エジプト)

 

「あるクリスマスの夜」 本文へのリンク

 

エジプトからの応募作品です。これはホラー作品です。暴力的で過激な表現があるので、苦手な方は読まないことをおすすめします。

作者が送ってきてくれたオリジナルの文章では、ホラー映画のタイトルみたいな血が滴っているフォントで書かれていました。(笑)

逆にそのようなフォントで書かれていれば、いかにもホラー作品だと分かるので、あまり怖さを感じないように思いました。このように普通のフォントで書かれていると、また別の恐ろしさを感じます。

 

作品6:私が落ち込んでいる理由 (ベルギー)

 

「私が落ち込んでいる理由」 本文へのリンク

 

ベルギーからの応募作品です。3つのストーリーに分かれています。このオムニバス作品からはとても鬱屈した精神を感じました。どうしても人から愛されないなら、せめて嫌われたいと思うようになった主人公・・・闇の力を感じる作品です。心の悲鳴のようなものがリアルに描かれているようにも思いました。

 

作品7:小さな生き物 (ヨルダン)

 

「小さな生き物」 本文へのリンク

 

ヨルダンからの応募作品です。彼は何かの試験の勉強をしていたそうですが、勉強の合間を縫って書いてくれました。本当は文章ではなくて絵が得意だそうです。

この作品は読んでいて少し泣きました。小さな存在である主人公は鳥たちを見て自分も空を飛びたいと思い、大きな木に登ります、そして徐々に様々な現実が明らかになっていきます。詳しくはぜひ本文を読んでみてください。悲しく痛々しいが美しいストーリーだと思いました。

 

作品8:もしも・・ (パキスタン)

 

「もしも・・」 本文へのリンク

 

パキスタンからの応募作品です。この作者は実はYouTuberでもあり、パキスタンの引きこもりとして英語発信をしています。とても稀有な存在です。

これはパキスタンという貧困に苦しむ人々が多い国ならではの作品だと感じました。主人公はあるホームレスの女性を見て「もしも・・」と空想(妄想?)を展開していきます。

 

作品9:地球のネットワーク (アメリカ合衆国)

 

「地球のネットワーク」 本文へのリンク

 

アメリカからの2つ目の応募作品です。現代社会に対する洞察に富んだエッセイです。

VRデバイスによるヴァーチャルリアリティの実現や、そのテクノロジーの発展によって起こる事が予見されています。新しい引きこもりの波・・。

ニュースや専門家の本や話からは社会には歪み、分断、劣化が様々な分野で生じている事が分かります。いつまでこの社会は持ちこたえらえるのか?それとも永遠にこの社会は維持されるのか?または、崩壊するならば、その先にあるのは一体どのような世界なのだろう?という問いをこのエッセイの結論から与えられました。

 

作品10:UNPLUGGED (課題) (イギリス) ※幻の作品

 

あるイギリス人が書いてくれた未完成の作品です。彼は多忙で、執筆の時間があまり取れないようで、残念ながら期限までに完成させて提出してもらう事が出来ませんでした。

未完成の作品を見せてもらったのですが、とても良く書かれた作品で、VR技術によって「引きこもり」が普通に仕事ができるようになった未来が書かれたSF小説でした。

引きこもりの主人公はVR技術によって仕事を得ますが・・様々な問題に直面します。VR技術の発展の先にあるのはユートピアかディストピアか?そのような作品です。

もし、完成すれば、別の機会で発表されるかもしれません。

 

 

おわり

 

ということで、海外の引きこもり達の「第3回引きこもり文学大賞」への応募作品の紹介を行いました。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

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